会議は踊る 2015 10 31

 先進国では、金利感応性が低く、
新興国では、金利感応性が高い。
 「感応性」とは、本来ならば、
文学で使う言葉かもしれません。
 この言葉は、物事に触れて、
心が感じ動くという意味です。
 先進国(日本)では、金利をゼロ近くまで下げても、
お金を借りて事業を始めようとする人が現れません。
 そのため、中央銀行は、
これ以上金利を引き下げる余地がなくなったので、
次善の策として、金融市場に膨大な資金を注ぎ込んでいます。
 しかし、それでも、
お金を借りて事業を始めようとする人が現れませんので、
こうした資金は、巡り巡って株式市場に流れ込んでいます。
 本来ならば、これほど平均株価が上昇したら、
「世の中、好景気だ」という声が聞こえてきてもよいはずです。
本来、平均株価と景気は連動するものだからです。
 もちろん、株高による資産効果で、
消費活動が活発になる可能性がありますが、
これは、副次的な効果であり、本筋ではありません。
 先進国において、なぜ、金利をゼロ近くまで下げても、
お金を借りて事業を始めようとする人が現れないのか。
 それは、バブル後遺症というものがあると思います。
日本では、1990年代に崩壊したバブルの後遺症が残っているうちに、
少子高齢化の問題が大きくなりました。
 日本では、高層住宅のことを「マンション」と言いますが、
私の家の近くの大型マンションでは、
建築されてから25年が経過して、
住民が高齢化したことにより、
いつの間にかマンションが「老人ホーム」になりつつあります。
 今から25年前は、夫婦に子供二人という世帯が多く、
活気あふれるマンションだったそうですが、
25年たった今は、年老いた夫婦で、あふれています。
 マンションの1階部分は、テナント用に区分されていて、
25年前は、店舗用の区分に、
いろいろな店が入っていて、商売が成り立っていたそうです。
 今は、シャッターが下りたままです。
25年前と比べて、世帯数は変化がないでしょうが、
住民は高齢化して、消費活動は大幅に低下しました。
 人間というものは、年を取れば取るほど、
物事に対して、感応性が低くなります。
つまり、物事に感動しなくなるのです。
これは、経済活動においても、感応性が低くなります。
 このような状況では、
誰も、お金を借りて事業を始めようとする人は現れないでしょう。
そういうわけで、マンションの1階部分は、シャッターが下りたままです。
 少子高齢化は、経済に大きな影響を与えます。
だからこそ、私は、2003年から、このサイトで、少子高齢化の問題を書いてきました。
 2003年当時は、「しょうしこうれいか」とは、
漢字で、どう書くのかと聞かれることも、よくありました。
 あれから、12年もたって、この言葉自体は有名になりましたが、
少子化対策は、「会議は踊る、されど進まず」ということでした。






































































































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